さて…。
この日も都心は36℃の予報。
しかし、暑い…と思って引き下っちまったら何も始まりゃしない。
それでも夏が好きなんだ。
何処へ行こうか思い付かない時は、湯田中温泉を目指そう。あそこは私の天竺なのだ。
見方を変えればですよ、夏は考える事が少なくて済むから楽なのです。
行った先で寒くなったりして重ね着をどうするとか、グローブが薄いの厚いのなんて事は必要ない。
通り雨なら有難いくらいだ。
暑いのさえ堪えりゃ良いと言う、実にシンプルな話しなのです。
そもそも、保土ヶ谷BPから東名海老名辺りで、車列に挟まれ排熱に身悶え、股の下からエンジンに炙られて、炎天にヘルメットの中は沸き立ち、やがて気も遠くなるアレを「渋滞」と思うからいけません。
アレは護摩炊きと思えばよろしい。
さすりゃ功徳のひとつも積むと言うもの。
大切なのは真言です。
真言を唱えて進めばおのずと道はひらくのです。
おん あぼきゃ べいろしゃのう
まかぼだら まにはんどま
じんばら はらばりたや うん!
な、ほら着いた。(そんなワケねーだろ)
とは言え、なかなかハードな護摩炊きだった…。
関越道の東松山から上里辺りの暑さは毎度恐れ入る。
あれだけ風を受けていても背中に汗をかくのだから、私ゃラクダに抜かれても驚かないよ。
湯田中温泉はこれで3度目ですね。
地元の方には失礼な物言いになりますが、この静かで寂れた空気がたまらないのだ。
そしてここをぐるりと囲む山波も美しい。
スキーシーズンはそれなりに賑わう様ですが、この時期は山あいにポツリと湯を湧かす、街の静かな佇まいに癒される。
別に大したもてなしは受けちゃいないが、ここを発つ頃には「またな…」と言う気分にさせられる。そんな温泉郷だ…。
さ、真言の次は禅だ、座禅。
こんこんと湧き出でる湯こそが仏の智慧、無量の光。
湯の中に座ればそこは、無念無想の境地ってやつよ。
ふぅ〜さっぱり…。
さ、ここまで功徳を積めば、後はやる事ひとつ。
清めだな、清めに一杯よ。
今宵は居酒屋「たいむ」さん。湯田中へ最初に来た時に寄った店へ再び。
あの時はGOTOナンチャラで来て、コロナ禍で街も静まり返ってましたが、この夜は宿から浴衣姿で飲みに来たお客さんなどで繁盛されている様でした。
私のオススメはコチラ。
野沢菜の天ぷら。コレ美味かったなァ…。
一杯やった後は夜間瀬川の橋の上。
川の音と水面が運ぶ風にあたり、のんびり涼む…。
どこを見渡しても人はいない。
あぁ…良い気分だ…。
明日はどうしようか。
まぁ…どうにかなるさ。
…つづく。